ヤオコー、2018年に新本社ビル移転。「働いてみたい職場」をどう作る?

 

ヤオコーが18年12月の移転を目指して新本社ビルの建設に着手する。

今の川越駅前のビルから、同じ西口の徒歩3分くらいの位置に引っ越し。会社が大きくなって、既存の本部がスペース不足になったとリリースに書いてあるのはその通りでしょう。

10年前と比べても、店舗数は1.7倍(17年3月期は154店)、営業収益は1.8倍(同3430億円)になっているのだから、同じ本部では手狭なはずだ。

2018年に移転予定の新本社ビル(イメージ図)

興味深いのは、本社ビル建設の目的として挙げた5項目が、おおよそ働き方にフォーカスしていること。

とくに気になる表現を3点抜き出すと、

  • 「働いてみたい職場での人材獲得」
  • 「ワンフロアによる効率的かつ部門横断的なコミュニケーションの実現」
  • 「効率だけではない健康面に配慮された働き方」

これらは新本社の機能やデザインに関わってくる。

 

人は縦には動かない。広いフロアはオフィスの常識に 


 

今の本社は9フロアだったか、いずれにせよ多層階に分かれている。新社屋は地下を含む4フロアで延床面積4285坪というから、1フロアあたりがだいぶ広い。

フロアを大きく取り、たくさんの部門を配置してコミュニケーションを活発化させるというのは、最近のオフィスデザインの基本のようだ。

かつてカルビーも、多層階の赤羽本社から出て東京駅前のワンフロアが広いビルに移った。松本晃CEOは「人は横には動くけど縦には動かない」として1フロアの理由を説明している。

さて、ヤオコーはどんなオフィスを構想しているのだろう? 店舗フォーマットの刷新で業界をリードする企業だけに気になる。

 

なぜか業界ごとにオフィスは似る 


 

ふしぎなことに、業界によってオフィスビルのデザインは似てくるようだ。働き方が似ているからだろうか。自分とこのデザインを考えるとき、他社を参考にするからだろうか。

食品スーパーの本部は、居抜きで入る場合が多いせいだろうか、そのビルに合わせて、手はさほど加えないところが多いように感じる。絵を飾ったり何か置いたりする場合も、いかにも飾りそうなところに素直に置いてある。なんというか、20年前と変わらないオフィスの雰囲気がある。

加えて、薄暗いところが多い。照明を意図的に節約したりしている。これも大事なのは店舗、本社はバックオフィスという考え方から来ているのか、質素に努めようという気概は伝わるものの、ハツラツとした感じはしない。落ち着いている、といえばいいのか。

 

オフィスはコミュニケーションの場


 

会社の設立から10年も経たないITやフィンテック系の企業は、居抜きで入ったオフィスでも内装のリフォームが徹底していることが多い。

ミニマルだったり、カフェ風にまとめたり、椅子の色までコーポレートカラーにこだわったり、西海岸風だったり、なぜかサーフボードを飾ってある割合も高い。

テイストはさておき、皆で働く場であるオフィス空間をデザインする根本が変わっている。

かつては、机を並べて個々人の居場所を明確にしていた。

今では、社員個々の居場所を作ること以上に、コミュニケーション空間であることを優先して考えられている。

だから机をフリーアドレスにするという発想も出てくる。IT系に限ったことではない。カルビーも採用していることだ。

 

働いてみたいオフィスじゃないと、人が集まらない

 

オフィスのデザインは、組織が目指す働き方に直結する問題であり、ヤオコーのリリースからもその意図は伝わってくる。

「働いてみたい職場」をどのようにかたちにするか。

「健康面に配慮された働き方」をオフィスのハード面からどのように支えるか。

もちろん、新本社のコンセプトとして「すべては、お店の先のお客さまの“お役立ち”のために」を掲げているから、IT系のような趣味のテイストも奇抜な感じもラグジュアリーさもないだろうが、「働いてみたい」という印象を持たせることも大事だ。人材確保が厳しい昨今だけに。


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