WeChat Pay モバイル決済の次なる巨龍

訪日中国人客の支払いサービスとして、日本ではUnionPay(銀聯カード)、AliPayの導入が先行したが、ここにきてWeChat Payへの対応も広がろうとしている。

ぐるなびが17年6月末にスタートした飲食店向けの決済システムに採用されたほか「ぐるなびPay、飲食店のキャッシュレス化は進むか」、ドン・キホーテは基幹37店舗にWeChat Payを導入している。

中国のモバイル決済サービスでは、AliPayとWeChat Payが頭抜けた存在になっている。

AliPayはEC大手のアリババグループが運営するもので、登録会員8億人、アクティブユーザーは5億人以上。

WeChat Payは、中国のIT大手・Tencent(テンセント)が運営するメッセンジャーアプリ「WeChat」から派生したペイメントサービスだ。チャットサービスの登録会員は11億人、アクティブユーザーは9億人以上。

日本ではWeChatを中国版LINEと説明することが多いものの、それはやや僭越ではないかと思うくらい会員数のケタが違う。どちらもサービスの開始は2011年だ。

App Annieが17年5月に公表した市場調査『アジアのファイナンスアプリ』によると、中国のiPhoneユーザーでは、WeChatアプリの普及率が100%という。(中国のiPhoneシェア率は11%らしいが・・・。)

 

app annie report

App Annie『アジアのファイナンスアプリ』より

 

また、テンセントの発表によると、会員のうちWeChat Payの利用ユーザーは67%とのことで、利用人口はAliPayユーザーに勝るとも劣らない。

というわけで、日本でも対応する企業が広がるのは確実なWeChat Pay。

 

QRコード決済、何気にモバイル決済の主流

 

WeChat Payの支払い方法は、AliPayと同じQRコードを読み取る方式だ。

利用者はアプリ操作で自分のスマホ画面にQRコードを表示し、店側に読み取ってもらうと支払いが完了する。決済額は、アプリの口座残高から即時に引かれる。

この方法はLINE PayのQRコード支払いとも共通であり、モバイル決済のやり方として世界に広がっている。

QRコード決済では、店側が提示したコードを利用者がスマホで読み取って完了、というスタイルもある。それぞれに利点があるとしても、同じQRコード決済で店と顧客のアクションが真逆というのはいかにもややこしい・・・。

 

 

LINE PayはWeChat Payの道を進めるか?

 

WeChat Payは金融でもリテールでもない、メッセンジャーアプリから派生した。

消費の接点とは関係ない分野から飛び出したペイメントサービスが、中国市場で大きなポジションを獲得したところが面白い。

日本のメッセンジャーアプリとして浸透しているLINEにも同じチャンスがありそうだ。何しろLINE Payの会員数は17年5月時点で3000万人を超えている。

どちらもメッセンジャーアプリとしてのスタートは2011年だが、ペイメントに進出したのはWeChatの方が早くて13年。LINE Payのスタートは14年末だ。LINE Payの先行モデルとしてWeChatを見ると、LINE Payの近未来も興味深い。

LINEはメッセンジャーアプリで言語を介したコミュニケーションのスタイルを変えたように、モバイル決済によってペイメントのスタイルを一新するかもしれない。

そもそもLINE Payは、お金のやりとりもコミュニケーションの一形態という考え方をしている。だから支払い手段にとどまらず、送金機能や割り勘機能を実装している。

文字や音声データを行き交わせるのがコミュニケーションであるように、デジタル化されたマネー価値を行き交わせるのもコミュニケーション、というわけだ。

WeChatも、新たに立ち上げた「WE Plan」で、決済データを基にしたマーケティング、販促サポートなどの強化を表明している。この取り組みも、お金のやりとりで「見える化」してくる情報を活用し、消費者と店のコミュニケーションを深めようとするものだ

 

メッセンジャー系ペイメントの優位性

ペイメントサービスが乱立するなか、メッセンジャーアプリ起点のフィンテックは競争力があるかもしれない。

LINE Payの浸透は10代から始まっており、消費の将来に向けた布石を打っている。また、使用頻度が高く、スマホの一等地に配置されることが多いLINEで使えることも有利だ。

アプリを介したペイメントの場合、アプリを起動しなければ使えない。こうしたサービスの課題は、アプリを起動してもらえるかどうか、そもそもダウンロードしてもらえるかどうかが重要になる。

その点、LINE Payの場合はそのあたりのハードルを軽くクリアしている。


Pocket
LINEで送る