ワオン or ナナコ。敵の敵は友、ですみ分け?

 

北海道のコンビニで店舗数首位のセイコーマートが、17年7月25日にイオングループの電子マネー「WAON(ワオン)」を導入した。

セイコーマートは、すでに楽天EdyやQUICPay、iD、交通系電子マネー各種を導入済みで、今回さらにWAONを加えたことになる。電子マネーを付け足す判断をした背景は分からないが、ワオンを選んだ理由は明確だ。「nanaco(ナナコ)は使えない」のだろう。

セイコーマートの道内店舗数は、6月末で1082店、セブンイレブンは961店と拮抗している。ローソン(637店)、ファミリーマート(244店)は、足しても900店に届かず、道内は2強の構図になっている。全国47都道府県で、コンビニ大手3チェーンが首位をとれていないエリアは、この北海道しかない。

北海道は、それほど出店が進むマーケットではない。セイコーマートの店舗数は横ばいが続いているし、セブンイレブンも他県での出店攻勢に似ず、道内ではここ2年で37店の純増にとどまっている。今後数年もランキングに変動はないかもしれない。

それはさておき、セイコーマートに限らず、ローソンやファミリーマートもワオンを導入している。ミニストップやポプラなどコンビニ各社はセブン&アイグループのナナコではなく、ワオンを導入するという対応で一致している。

もっとも、Suica(スイカ)その他の電子マネーも大概は使えるので、ナナコとワオンに2分しているわけではない。ただ、ナナコは使いたくないというチェーン本部の気持ちは明確に表われている。ワオンを取り立ててナナコを封じ込めたい・・・、というほど積極的ではないにしろ、非ナナコであることはたしかだ。

 

ナナコもワオンも10周年。電子マネーの巨大生態系に


 

セブン&アイのナナコ、イオンのワオン。07年春に相次いで誕生し、共に10周年を迎えた。

それぞれを数値で比較したいが、発表の仕方が微妙に異なる。

ナナコは会員数5447万(17年4月末)、ワオンは累計発行枚数6600万(17年6月末)としている。

ナナコの利用店舗数は約25万、ワオンは利用箇所で約34万(自販機・タクシーなど約20万)。

ナナコは年間決済件数20億件、ワオンは年間利用金額2兆円(いずれも16年度)といったアナウンスになっている。

WAONが使える自販機

ちなみにJR東日本のスイカは、発行枚数6398万枚、利用可能店舗数およそ38万店(17年3月末)といった規模だ。ワオン、ナナコ、スイカは非接触・プリペイド式電子マネーの3強だ。

 

スーパー、ドラッグストアは二者択一

 

コンビニ業態でセブン以外の非ナナコが鮮明だったように、他にもワオンとナナコの導入で線引きされる業種はあるだろうか。

両グループの基幹業態の1つであるスーパーとドラッグストアは、ワオンを入れればナナコは使わず、その逆も然りといった関係が見える。

イオンは、グループ内に多くの総合スーパー、食品スーパーを抱えている。そういったチェーンにはワオンが導入されているケースが多い(グループにも関わらず導入していないケースも目立つ)。

各エリアでイオングループのライバルとなるチェーンは、ワオンではなくナナコを選択する場合があるようだ。北海道のダイイチのようにセブン&アイのグループというケースもあるが、高知のサンシャインチェーン、長野のデリシア、中四国・九州のイズミなど、グループ以外のチェーンもそれぞれの判断からナナコを選んでいる。もっとも、サンシャインチェーンは電子マネー以外の分野でも協業しているし、デリシアは歴史的にセブン&アイと関わりが深い。イオンとの対抗軸だけでナナコを選んでいるわけではない。

また、スーパーではワオンもナナコも導入していないケースがマジョリティだ。電子マネーへの対応はコンビニほど積極的ではないのが一般的だし、どちらの陣営とも競合環境にあることが多い。ここで言いたいのは、導入したチェーンはワオンかナナコに線引きされており、両方が使えるスーパーはない、ということ。

ドラッグストアも、イオングループは全国規模で展開している。ワオン陣営にはウエルシア、ツルハといった大手が顔を揃える。ワオン軸に対してナナコを選んだチェーンには、アインズ&トルペ、ココカラファイン、セイムス、キリン堂、サツドラが並ぶ。ドラッグストアにおいても、どちらの陣容にも与しないチェーンはたくさんある。

 

家電・外食・レジャーはどちらも導入
ガソリンスタンドや高速道路は割れる

 

両グループのコア事業ではない分野では、ワオンもナナコも導入するケースがある。家電や外食、レジャー関連がそのような業種だ。それぞれの企業が電子マネーの利便性を重視し、流通系に限らず電子マネーを幅広く取り扱っている。

家電 ビックカメラ、コジマ、ジョーシンなど。

外食 CoCo壱番屋、かっぱ寿司、上島珈琲、ドミノピザなど。

レジャー Round1、快活CLUBなど。

宅配サービスのヤマト運輸も、両方の電子マネーが使える。

外食では、マクドナルドと吉野家はワオンだけを扱う。ちょっと不思議な感じがしていたが、マクドナルドは先日、8月からナナコにも対応すると発表した。

意外なところで線引きされているのがガソリンスタンドで、ナナコ陣営にはエッソ、モービル、ゼネラルが並び、ワオンはコスモ石油と分かれている。

高速道路はNEXCO西日本、東日本ともワオンだけを取り扱う。そのほかTSUTAYAもワオンだけを導入している。楽天EdyやiD、QUICPayにも対応するTSUTAYAだが、ナナコは導入していない。

 

電子マネーは1つに集約できない構造


 

ナナコとワオンはバックボーンが流通系だけに、2者が並び立たないケースがどうしても出てくる。流通系の電子マネーだからこそ幅広い業種に導入されているという側面もあるが、系列の都合で入っていけない店も出てくる。

スイカやPASMO(パスモ)にしても、事情は異なるが制約がないわけではない。鉄道から離れたロードサイドに展開するチェーンの場合、あえて導入する理由はない。交通系は路線に縛られてしまう。

それぞれの得手不得手があるため、電子マネーはどれか1つが抜きん出るということもなく、キャッシュレスの多様化という文脈の中で今も拡大を続けている。


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