電子マネーの双子(汎用型とハウス型)

双子の母は「手数料」

クレジットカードや各種の電子マネー、何々Payといった汎用型のキャッシュレス決済が利用されればされるほど、その店でしか使えないハウス電子マネーも増えていく。矛盾しているようだが、今の環境では、このモメンタムを変えようがない。

なぜなら、汎用型キャッシュレス決済は手数料を取られるから。キャッシュレスの比率が高まる分だけ、手数料として出ていく金額が増えてしまう。

それだけではない。汎用性の高いクレジットや電子マネーで決済されると、店への入金が遅くなる。規模の大きいチェーンならともかく、中小の小売業では資金繰りに関わる事態を招きかねない。

キャッシュレス対応で顧客の利便性を高めれば、利用を促進して売上アップにつながるという期待はあるものの、構成比が高まるほど入金は遅れ、手数料を割り引かれてしまう。クレジットカードの手数料は、食品スーパーの場合で2〜3%台が一般のようだ。業界の営業利益率は良くてそれくらいだから、もし全決済がクレジット払いになったら、それだけで全利益が飛んでしまいかねない。

小売業は、キャッシュレス決済を用立てはするけど、使用して欲しいとは思っていない。そんな矛盾を抱えている。



 

母なる手数料を原資とする限り、双子の対立に決着はない

 

顧客がキャッシュレス決済を望むなら、利用料の持ち出しを抑えるためにハウス電子マネーを用立てるしかないということで、ここ数年で独自電子マネーを導入するチェーンが急増した。

これらハウス電子マネーの多くは機能的にプリペイドカードに他ならないものの、時流に合わせて電子マネーと呼んでいる。

チャージ方法を現金に限定しているところが多いのも、手数料を発生させず、チャージと同時にキャッシュが入る仕組みが店側にとって都合がいいからだ。

逆に言えば、クレジットカードのように手数料を取られたうえに入金も遅れるのでは、店側にとって都合が悪すぎる。

しかしチャージ方法が現金だけに限られてしまうと、顧客にとっては不便だ。クレジットカードを所有し、そのカードのポイントを貯めたいと思っている人なら、あえてハウス電子マネーを持つ理由がない。

不便を乗り越えても電子マネーを利用してもらうためには、それなりのインセンティブがなければならない。たいていの場合は、ポイント付与率を高める以外にない。

ハウス電子マネーを導入しても、それ以前の利用料の持ち出しがポイント原資の持ち出しに変わるだけかもしれないが、入金スピードが早まるというメリットは残る。

ただ、そうした店側のメリットは消費者には関係ない。手数料を取るクレジットや電子マネーサービスの運営会社は、その手数料を原資にポイントを還元するので、還元率でハウス型に劣るわけがない。

結局はハウス電子マネーを取るか汎用型キャッシュレス決済を取るかは顧客のお好み次第で、どちらが優位になりそうにない。つまり手数料の仕組みが現存のままである限り、汎用型とハウス型は同時に成長していくだろう。

 


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