GDP、個人消費が伸びるなか、なぜスーパーは売上低迷?

 

17年の景況に関連した指数は、6月まで概ね好調だ。

実質GDPは年換算で4.0%増、個人消費(0.9%増)も設備投資(2.4%増)も伸びている。輸出は0.5%減となったものの、内需がGDPを押し上げている。

総務省の家計調査(2人以上の世帯)6月の数値を見ても、消費支出は2.3%増と伸びている。

今年の完全失業率は2.8〜3.1%で推移。この20年で最も低い水準だ。それを裏付けるように6月の有効求人倍率は1.51倍で43年ぶりの高水準。正社員に限った求人も、04年の統計開始から初めて1倍を超えたという。

雇用はあり、消費支出も伸びている。しかし、食品を中心とするスーパー業界団体の統計は低調だ。どうしてだろう?

 

食品スーパーの売上は前年対比で低調


 

業界団体のうち、総合スーパーを含む大手企業が加盟する日本チェーンストア協会(JCA、6月で56社・9,499店)は、4月を除いて既存店ベースの前年割れが続いている。衣料・住関品は何年も低調だが、最近では食品の不振が輪をかけている。

食品スーパーの業界3団体が合同で発表する統計(集計270社・7,764店)をみても、17年は6月まで前年割れが4ヶ月もある。16年が1ヶ月しか前年を割らなかったこととは対照的だ。

 

 

業界団体の統計は、企業側のトレンドをみたものだ。企業サイドの実績を裏付ける、消費者サイドの統計はないものだろうか。

探してみると、やはり要因と思われる指数はある。

 

食品の消費支出と、現金給与総額は実質的に減少


 

先に挙げた総務省の家計調査は、項目別にみる必要があった。

前述のように6月の消費支出トータルは実質で2.3%増だが、食料に限れば0.6%減だ。食料の実質ベースは、なんと16年8月から前年割れが続いていた。とりわけ昨年11月から今年3月にかけては2〜5%台のマイナスが続く厳しさだった。

食品スーパーの苦境を示す指標は他にもある。

厚生労働省による毎月勤労統計調査の中に、「現金給与総額」の項目がある。ある大手チェーンのトップが「スーパーの販売動向と最も相関性が高い指標」と注目しているものだ。

やはり相関性があるようで、現金給与総額の実質賃金は1月(0.1%減)、3月(0.3%減)、6月(0.8%減)と前年を割り、残り3ヶ月も0.0%と増えていない。

 

 

名目賃金は微増を続けていたものの、6月には0.4%減になった。

ちなみに、現金給与総額の「実質賃金」とは物価上昇率を加味した数値だ。また、この賃金は「一般労働者」(パート以外と規定)と「パートタイム労働者」を合わせた平均値となっている。

一般労働者は実質賃金が1.0%減、パートタイム労働者は1.2%増だった。パートの賃金は上昇しているが、これは時給単価の上昇(名目で3.1%増)が続いていることによる。もとよりパートの給与は社員よりも低く、パートの時給が上がっても統計全体にさほどプラスになるわけではない。そして労働者に占めるパート比率は0.04P増と増え、構成比は30.60%となった。パート比率が高まるほど、全体の賃金は抑制されることになる。

 

17年6月はアニキサス、ビール値上げがマイナス要因

 

6月単月の低調には特殊な要因もあった。総務省の家計調査によると、カツオが前年比31.7%減、サケが18.3%減となっている。これらは寄生虫のアニキサス報道の影響とみられる。また、安売り規制が厳格化されたビール類(発泡酒・新ジャンル含む)は18.0%減で、食料全体を押し下げる要因になった。

こうした特殊要因があったとはいえ、同調査の6月食料支出が他の月に比べて突出して悪いわけではない。7月は九州で豪雨があったものの、全体的には猛暑がプラスに働くだろう。しかし8月は長雨と低気温で苦しくなりそうだ。各月に特殊要因はある。

食品スーパーにとって17年度上期の山場である7〜8月がどうなるか、ボーナスも出た7月の現金給与総額の動向が鍵になる。7月のことは実際にはもう終わっているわけだけど。


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