人手不足への対処:小分けして分かち合う

週1・3時間未満でも雇いたい

チェーンストアの人手不足がどれくらい深刻か、その実際を定量的に把握するのは難しい。ただ、間接的に現状を示すものとして、リクルートジョブズが17年2月にまとめたデータは興味深い。フリーペーパー「タウンワーク」に掲載されたパート・アルバイトの求人広告の12年度と16年度を比べてみると、短時間・少日数の求人件数が大幅に増えている。

スーパー・百貨店の区分の場合、週1〜2日の求人は12年第1四半期の13.3%から、16年第3四半期は24.7%に上昇した。コンビニ・DSのくくりでは、42.1%から59.6%に上昇している。件数全体に占める割合は45%というから、マイノリティゆえの高い伸長率、というわけではない。

1日の最低勤務を3時間以内とする求人も、スーパー・百貨店で7.1%から13.0%に、コンビニ・DSは4.1%から16.8%にジャンプアップしている。全件数に占める割合は20%だが、4年で2倍近く上昇している。

短時間の勤務は、たいていが早朝か深夜か、あまり好まれない時間帯だからこそ採用は難しく、それだけ求人件数が多くなるという理由はあるだろう。ただ、そのこと自体は今も昔も変わらない。4年ほどでこれだけ比率が高まっているのは、人を求める企業側のスタンスが変わりつつあることを示している。

 


タスクの細分化と分業化、つまりマニュアルの進化

フルタイムで働ける人を求めても、必要な人員が揃わない。時給を上げるのにも限界があるので、業務の方を見直し、これまでの条件では働けなかった人を取り込もうとしている。シフトの時間を細分化するだけでなく、運営に関わるタスクも細分化し、分業によって店を回そうという発想だ。

有効求人倍率が1倍を超える以上、どうしたって働き手は不足する。希少な相手方の条件に合わせのは仕方がない。企業はこれまでの条件では働けなかった人たち、つまり子育て中の女性や、退職したシニアを労働力として取り込み、人手不足を乗り切ろうとしている。

タスクの細分化を進めるには、タスク個々の内容を明確にする必要がある。さらに個々のタスクを果たすことがどういった評価につながるか、ルールが明らかでないと不平不満につながるだろう。同一労働・同一賃金が小売業で成り立つかどうか議論されているが、そもそも労働が詳細に明確化しなければ話を進められない。

タスクの細分化と評価基準の明確化は、分業を進める前提になる。そもそもチェーンオペレーションのマニュアル化とはそういうものだが、より一層の細分化が求められるようになってきた。分業化が進めば、店舗オペレーションに関わる頭数が増える。それだけシフト管理もややこしくなるはずだが、そこは技術がフォローしてくれる。

人の確保に向けて業務を見直す。必要に迫られているからこそ、業務改善のイノベーションが起きそうな気がする。人による分業から、やがては機械やロボットの導入へと、業界の未来がSF的に発展していく期待もしている。

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