なぜリアル店舗では「無駄足を踏む」事態が発生するのか?

 

20%offクーポンを携えて、気になっていたあれを買おうと出向いた店で、在庫が切れていた・・・。よくあることだ。Amazonで買うからいいもん。心に誓って店を出る。

Amazonで購入できるものならまだしも、生鮮品や冷蔵品などの食品が、出向いた先のスーパーで売っていなかったり高すぎたりすると、今晩の食事のプランが崩れてしまう。別のスーパーに行くべきだったと後悔する。

リアル店舗では、このような「無駄足を踏む」事態が頻繁に発生する。なぜだろう?

AIのワトソンくんなら答えられるだろうか。「初歩的だよ」と返してほしい。これはホームズの台詞だが。

無駄足を踏んでしまう原因は明確だ。リアル店舗は全商品の価格と在庫情報を事前に開示していない。行ってみないと分からないからだ。

 

ECのあたりまえが、リアル店舗はできていない


 

全商品の価格と在庫情報を事前に開示する。販促ツールがチラシしかなかった時代には、もちろん不可能だった。しかし自社のHPを持ち、アプリまで開発するような時代に、取扱商品の価格と在庫の状況を開示しないのは、怠慢ではないか。そのように評価されていい時代に、そろそろなっている。

全商品の価格と在庫状況が分かる・・・。まず、ECではあたりまえだ。そのサイトにない場合は、「無駄タップ」ないし「無駄クリック」をしたことになる・・・。そんなこと指先1つの話で、無駄足を踏んだときのダメージとは比べものにならない。顧客に無駄足を踏ませないような努力を、リアル店舗だからこそしなくてはいけない。

リアル店舗のチェーンでも、無印とかユニクロとかニトリとか、衣類や住居用品の専門店ならあたりまえに店頭在庫を確認できる。

たしかに、食品を扱うスーパーで同じことをするのは難しい。

生鮮品は価格の変動が頻繁だし、鮮魚に至っては漁次第でその日の商品構成も変わる。そういった商材がスーパーの主力であるとしても、品数としては全体の数%程度であることも事実。ほとんどの商品は、たとえ特売を打つにしても計画的に値段も在庫も決定しているわけで、少なくともPOSシステムにはそのような価格できちんと登録されている。これをHPとリンクさせて、ネット経由で顧客に商品情報を詳らかにすることも、やってやれないことはないだろう。ネットスーパーでは部分的に実現していることでもある。

 

品物を見て選ぶ。それはリアル店舗の楽しみ
ただ、品物の有無と価格は事前に知りたい


 

米国アマゾンがホールフーズを買収し、これからホールフーズ店頭の売価を下げると報道されている。ただ、価格政策の見直しはシナジーでも何でもない。店頭で売るもののコスト構造をどう変えるかはこれからの話だ。

その過程で、ホールフーズ店頭で取り扱う全商品について、Amazonサイトでは在庫も価格もリアルタイムでチェックできるようにするだろう。ECを運営するアマゾン社にとって、それは当然のことだから。野菜や魚の数を正確には把握できないだろうか? そこを工夫するだろうし、どうしても無理なら、欠けたままにするしかない。

商品の価格と在庫の提示は、ネットスーパーの前提でもある。大半のネットスーパーが、取扱商品を店頭の在庫と共有しているにも関わらず、店に比べると品揃えは限定的だ。販売業務の手間もあるし、それは仕方がない。

しかし、ネットスーパーで実現している価格と在庫状況の開示を、リアル店舗の顧客にも提供してほしいものだ。

 

実際に見て商品を選ぶのはリアル店舗ならではの楽しみとしても、あるか・ないかは事前に知りたい

 

ECでのあたりまえをリアル店舗に移植するだけで、かなり画期的なサービスになる。

店頭でどのリンゴを選ぶかは店での楽しみの1つだが、リンゴを期待して店に出向いて、欠品していたら腹立たしい。リンゴはあるのか・ないのか、いくらなのか。それは本来、店に行く前に知りたいことだ。

在庫の有無と価格が分かっていれば、店まで足を運ぶべきかどうかの判断はできる。それで顧客が来店しないとすれば、店は対策を講じればいい。商品の状況が分からないまま来店させて無駄足を踏ませるなんて、ECでの買物に慣れた顧客が許容するだろうか。

チラシの特売情報を見て、「安いこれが欲しい」という動機を持たせて来店を促し、店にある他の商品も購入してもらう。これがスーパーの伝統的な手法で、今も続いている。特売情報はいつだって必要だから、この手法は今後も続くだろう。それに加えて、自分に必要な商品の有無と価格をチェックできる。そんなスーパーは利用しやすいと思うのだが。


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