そごう千葉店JUNNU(ジュンヌ)改装。すべてがフォトになる

 

そごう千葉店の別館ジュンヌは、20〜30代女性のファッション専門館として05年に誕生した。女性ファッションを深掘りする機能によって隣接する本館との補完関係にあったが、17年9月のリニューアルではその機能を修正した。

 

六角形の新ロゴを採用した新生JUNNU

 

新生ジュンヌは、ファッションの構成比を落とし、雑貨やカフェ、サービス専門店を拡充している。書店やレゴ・スクール、子供の一時預かり施設なども導入し、ターゲット自体は以前と大きくは変わらず30代女性を中心としながらも、子供や家族と一緒に来て楽しめるコト発想・体験型の施設内容に一新した。

全70テナント中、9月にオープンしたのはまだ60テナントで、フルリニューアルは18年3月を予定する。

18年度の年商は、16年対比で25%増の90億円を計画する。ファッションの売上構成比は、改装前の85%から50%に下がる。一方で雑貨は10%から35%、サービスは5%から15%にそれぞれ3倍ほどのアップを予定する。

ジュンヌのフロアは地下1階〜地上4階まで。地下1階はユニクロやムラサキスポーツ、ABCマートといった大型専門店で構成する。4階は改装前から人気のカフェ「ラ・メゾン・アンソレイユターブル」を拡大、フランフランを3階から移設するなど、こちらもやや大型のテナントを揃える。

ラ・メゾン・アンソレイユターブル

 

放射状に広がる平場。顧客の流れを変える。


 

コト体験の要は1〜3階だ。エスカレーターの昇降口を中心に、各専門店(テナント)の什器を放射状に配置する新レイアウトに挑戦した。

専門店には本来、それぞれブランドの世界観がある。通常はショップ形式、つまり壁面を使って他店と隔絶した方がブランドの個性を表現しやすい。そこをあえて、壁をなくした売場(これを平場という)で展開する。

もちろん難色を示す専門店もあったが、そごう・西武側は新しい買物体験に挑戦する意義を説明し続けた。ショップ形式でブランドの存在感はアピールできても、ショップの敷居が返って誘客の妨げになる場合もあった。顧客の流れを制約しない放射状に什器を配置した平場で、買物スタイルを変えようとしている。

1〜3階のフロアは放射状に什器を配置

 

with ドリンクの百貨店体験。それを写真に。


 

新生ジュンヌは、コト起点による体験型専門館をテーマとする。

どんな体験ができるか? 一言でいえば、写真を撮りたくなる体験だ。

1〜3階では自由に平場を行き来する買物スタイルをさらに楽しくするために、ショッピング with ドリンクを提案する。文字通り、飲物を片手に売場を見てくださいということだ。

各フロアにテイクアウト可能なカフェを導入し、売場内にはドリンクを置ける台座「パーチ(止まり木)」を50ヶ所設けた。ドリンクを持ったままでは、気になった商品を手に取れない。ドリンクを置いて商品を確かめたり、店員と相談したりする。

 

各フロアにテイクアウト可能なカフェを配置

 

店内中央のエスカレーター周囲にも、ベンチのほか立って使用できるカウンタースペースを用意する。このカウンターではスマホの充電もできる。

 

エスカレーターの周囲に配置したスマホの充電もできる休憩用カウンター

 

千葉店長の豊田隆信執行役員は、「ドリンクもファッションの1つ」という。好みの飲物を片手に、販売員とのおしゃべりを楽しんで欲しいと語っていた。

また、売場内の柱周りに合計18ヶ所の撮影スポット「ジュンヌ シューティング」を設けた。アート作品や注目アイテム、地元商品を紹介するためのギャラリーで、展示品そのものや、アート作品を背景に撮影できる。

百貨店での体験をどんどんSNSにアップして欲しいと、売場担当者の1人は語っていた。カフェを片手に、購入した商品と、あるいは試着品・小物のフォト映えもチェックできる?(店員に頼めば大丈夫な場合もあると、担当者の1人は説明していたが・・・。)

ポップなアートを背景にどんな百貨店体験を撮影するかは顧客次第だが、店内での撮影を許可すること自体がとても珍しい。

 

売場内の各所に撮影スポットを配置

 

売場の仕掛けだけでなく、千葉初出店のキャンディー専門店「パパブブレ」や、ジュースバーのアップル アンド ジンジャー、16カテゴリーを深掘りした「16の小さな専門書店」、スイーツ作り体験の「ホイップ」(「ABCクッキング「Whip(ホイップ)」、スイーツ&フォトの手作り入門編」参照)など、フォトジェニックな商品・サービス・スポットに事欠かない。

 

楽しい体験、すなわちインスタ映え?


 

リニューアル第1弾オープンの9月15日から10月15日まで、ツイッターとインスタグラムを対象に、「#ジュンヌに行ってみた」写真投稿キャンペーンを展開する。

ジュンヌの公式アカウントをフォローしたうえで館内の写真を投稿すると、抽選で専門店のビスケットをプレゼントするというもの。

先の撮影スポットに限らず、すでにさまざまな百貨店体験がアップされている。

ネットにはない、リアル店舗ならではの買物体感が必要とはよく言われることだが、顧客はどんな体験を望むのか? を考えた回答の1つが新生ジュンヌのあり方だろう。

 

撮影スポットでは地域情報も発信

 

顧客が商業施設に望む体験は、日常からのちょっとした逸脱であることは間違いない。ちょっとした非日常を味わいたいからこそ、近くのコンビニでもなくネットでもなく、わざわざ百貨店まで足を運ぶのだ。

それでは日常からのちょっとした逸脱体験とはどんなことか? とりあえずは「インスタ映えする」という明確な回答を見た思いだ。休日の体験、すべてをフォトにしたい。そう考える顧客の来店動機を刺激する。


 

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