イオンとセブン&アイ、稼ぐ力を見比べると

17年2月期決算で、イオンの営業収益は8兆2101億4500万円、セブン&アイHDは5兆8356億8900万円だった。コンビニ加盟店の売上は含まれないので、法人としての売上だけをみると、イオンの方が大きい。ちなみに加盟店の売上を含めると、セブン&アイは10兆円を超える。

とにかく会計上の売上はセブン&アイを凌駕するイオンだが、営業利益は見劣りする。イオンの1847億円余りに対し、セブン&アイは3645億円も稼いでいる。この差は、コンビニのフランチャイズ事業の収益力によってもたらされている。



 

コンビニ基盤の生態系

セブン&アイの営業利益3645億円のうち、3131億円はコンビニ事業による。実に9割近い。次いで多いのが金融事業の営業利益501億円だ。これで99.6%を占める。ほかにも黒字事業はあるが、赤字事業もあるので営業利益と単純に比較すると99.6%ということになる。そうまで極端にいわなくても、セブン&アイの収益源がコンビニであることは間違いない。金融事業もコンビニに設置されたATMが中心なので、セブンイレブンのエコシステムの中で育まれた事業といえる。

 

大型ショッピングモールの生態系

17年2月期のイオングループで、最も稼いだのは総合金融事業の619億円だ。ディベロッパー事業の468億円がそれに次ぐ。こちらも単純比較をすると、グループ全体の営業利益の6割近くを金融とディベロッパーで稼いだことになる。

ディベロッパー事業とはイオンの場合、ショッピングセンターの開発・運営を意味する。大型ショッピングモールの中に、グループのさまざまな小売業態が出店して売上を作る。クレジット決済や電子マネーを柱とする総合金融事業も、ショッピングモールのエコシステムの中で頻繁に使われるからこそ、収益源になり得る。

セブン&アイHDがコンビニ生態系を成長エンジンとしているのに対し、イオンはショッピングモール生態系を構築してグループを成長させている。小型店と大型商業集積、それぞれの生態系の核が対照的だ。

 

稼ぐ方に軍配?
仮に全ての小売店がコンビニなったら、どうだろう?

どちらが稼ぐかといえば、それはもうコンビニに分があるのは明らかだ。日常普段の「近くて便利」、それを日々積み重ねていくことで途方もない利益を生み出す。

それなら収益力でコンビニに劣るイオンの大型商業集積は、事業としての価値で劣るかというと、金額の尺度だけでは決められない。

セブンイレブンが支える日常普段は重要だが、考えてみるといい。休日の買物もコンビニだけでいいだろうか? ネット通販の留め置きもできるし、あらゆる商品をコンビニで買えるとして、家とコンビニの往復だけで休日が終わるとしたら、どうだろう? 息が詰まりそうだ。

買物だけが外出ではないので、息が詰まるならコンビニ以外のところに出かければいいわけだが、買物に出かけるくらいで終わる休日も多いものだ。

そんなとき、日常普段からちょっとだけ離れたショッピングモールに出かける。多くの人がそこに価値を見出している。利益は価値の対価ともいわれる。価値が認められているからこそ、イオングループの中でディベロッパー事業の稼ぎはいい、はずだ。

人は日常性だけでは暮らせない。スポーツ観戦に行く、コンサートに行く、映画館に行く。それと似たような感覚で、人は脱日常の感覚を求めて、あえて近くて便利の店ではなく、遠くのショッピングセンターを目指す。

コンビニがどれほど進化を遂げようと、それが日常性の業態である限り、非日常性の業態のニーズは残る。それがイオンのショッピングセンターであり続ける保証はないのだが、現状はこの分野でイオンは強い。対極のエコシステムで、セブン&アイとイオンはそれぞれNo.1である。だからこその2大流通グループなのだろう。

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