飲食店で座席確保したまま注文&決済! NFCの使い道

 

お店で買物をする際、精算のためにレジに並ぶとか、カフェで注文のためにカウンターに並ぶといったシーンは、店側は顧客とのタッチポイントとして接客に力を入れるけど、顧客にとっては義務でしかなく、スルーできるならそれに越したことはない。心のこもったレジ精算よりも、オートですっ飛ばせた方がどんなに気持ちいいか。

注文や会計で列になるシーンがクレームになりやすいのは、根本的にストレスのかかるシーンだからだ。このストレスを解消すべく、並ばずに注文&会計を目指す実験が、湘南・江の島で行われている。

セカンドファクトリーが運営する海の家「SkyDream Shonan Beach Lounge」は、未来型店舗の実験場として例年いろいろな取り組みをしている。5回目となる今年の目玉の1つが、スマホを使った注文&会計サービスだ。

SkyDream Shonan Beach Lounge フェイスブックページより

カフェやファーストフードなどカウンターで注文する店の場合、買う前に座席を確保しなければならない場面がよくある。店員は席までオーダーを取りに来てくれるわけではないから、荷物などを残してカウンターに並び直す。仕方がない、あたりまえだと思っていたが、確保した座席で注文も会計もできるなら楽になる。

利用するのはアクアビットスパイラルズが開発した「スマートプレート」で、これにスマホをタッチすると、ウェブのメニュー注文ページが立ち上がる。NFC(Near Field Communication:近距離無線通信)を活用したもので、特別なアプリをダウンロードせずに使えるのがポイントだ。

 

NFCとはICチップによる無線通信。Suicaのような。


 

NFCは近距離無線通信の規格であり、SuicaやWAON、nanacoなどに使用されているFeliCaも含まれる。つまり電源不要のICチップが可能にする通信技術で、スマートプレートにもNFC規格のICチップが内蔵されている。

タッチすることで指定のウェブサイトを閲覧するあたり、QRコードに似ている。江の島の実験で使われるスマートプレートには、NFC非対応のスマホでも利用できるようにQRコードも印字されている。

こうした使用方法だけでなく、スマホとBluetooth対応端末との認証や、スマホ間のデータ交換にもNFCが活用されているらしい。

スマホでタッチするだけで特定のウェブサイトやアプリを起動できるので、情報提供のツールとして幅広い活用が考えられる。アクアビットスパイラルズは、スマートプレートを「次世代型IoT販促ツール」と位置づける。なるほどセール情報の提供やクーポン配布に使えそうだ。電源不要だから、売場のどこにでもセットできるし、各家庭に用意してもらい、Amazon Dash Buttonのように使うことも可能だろう。

 

決済機能 将来はApple Payにも対応予定


 

スマートプレートで注文ページに遷移させたうえで、実際に注文するシステムはセカンドファクトリーのクラウドサービス「QOOpa」を使用する。オーダーと同時に行う会計は、QOOpaとスマートプレートの拡張機能「スマプレPAY」が連動する。ブラウザ上で完結するため、注文も会計も専用のアプリを使用することなくオンライン決済が完了する。

 

スマートプレートとQOOpaを使った注文&会計の流れ

 

ただ、実験では入店時にクレジットカードの事前登録が必要になる。登録といってもリーダーにカードを通すだけらしいが、些細とはいえ手間ではある。

スマプレPAYの技術はクレジットカード以外にも幅広い対応が可能で、今後はApple PayやAliPay、WeChatペイなどに対応予定という。利用者が多く汎用性の高いモバイル決済を使えるのであれば、確保した座席での注文&会計の需要も増えそうだ。

 

注文と決済をセルフ化するメリット


 

NFCによる注文&決済が実現すれば、飲食店にとっては店内業務の省力化につながる。顧客との接点として人を配置しなければならなかったオーダーと支払い業務を自動化できる。

もちろん人員をゼロにはできないとしても、フロアスタッフの業務負担は軽減される。また、顧客にとっても利便性は高い。オーダーや支払いのために並ぶという苦痛から解放される。

座席での注文&決済によって飲食店の利用シーンが一変するのは間違いないが、問題は決済のキャッシュレス化によって増加する手数料などのデメリットだろう。

オーダーの自動化までなら、すでに回転寿司チェーンなどで実現している。フロア業務をそれだけ合理化しても、キャッシュレス化しているチェーンは少なく、むしろ現金しか受け付けないところが多い。それだけ手数料は飲み込めない負担なのかと思ってしまう。もっとも、クレジットや電子マネーが使えるカフェやファーストフードも多い。早く広がるといい。

NFCとスマホの組み合わせで、オーダーも決済もセルフ化してしまう。味気ないと思う人もいるかもしれないが、慣れたらきっと後戻りできない。


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