プレスリリース配信サービスのPR TIMESが、広報活動の効果測定としてウェブメディアでの掲載状況をリサーチできるサービスを始めた。2017年1月にローンチしたもので、3月末で登録企業は500社を超えている。
「Webクリッピングサービス」と名付けられたそのサービスは、4月現在で1000サイトを超えるメディアを調査対象とする。たとえば自社名やブランド名をキーワードとして登録すると、そのワードが含まれた1000サイトの記事がクリッピングされ、グラフや表で定量的に把握できる。もちろん、メディア名や掲載記事のURLも参照できる。
有料のオプションサービスを使えば、その記事がSNSでどれだけシェアされたかも把握できる。別の有料オプションを使用すれば、事前の登録ワード以外の任意の言葉で、ウェブメディアの過去記事を検索することもできる(17年4月時点では半年前まで。期間は徐々に長くなる見通し)。
基本料金は月額1万円(キーワード5つまで)、オプション料金はSNS拡散の観測が5ワードで月額4000円、過去記事検索は月額4万円だ。PR TIMESのリリース配信サービスを利用している企業なら、いずれも半額で利用できる。
メディアの過去記事検索では日経テレコンが老舗で大手だ。PR TIMESは検索対象をウェブに限定しているものの、検索結果のグラフ化などアウトプットも含めた使い勝手のよさで独自性を打ち出す。
複数の企業名で掲載状況を比較したり、調査対象のメディアを絞り込んで表示したり、1000を超えるウェブメディアのテキストデータを、特定ワードでくくって定量的に把握できる。
日々更新される記事データの収集は自動化されているものの、対象メディアの選定はPR TIMESが人力で行なっている。9月には3000サイトに拡大予定というから、増やすだけでもたいへんな労力だ。
つまりウェブメディアのデータベース
リリース配信の事業会社だけに、広報活動の効果測定という名目になっているが、このWebクリッピングサービスは、紛れもなくウェブメディアのデーターベースだ。キーワード検索でウェブメディアの報道を定量的に把握できる。Googleのニュース検索では定量的な把握は困難だが、PR TIMESのサービスはグラフ化などにより定量データとして視覚化できる。
企業名やブランド名に限らず、さまざまなワードで掲載状況をチェックすれば、ウェブメディアの傾向が見えてくるだろう。たとえば「フィンテック 金融」、「フィンテック 消費」などで検索をかければ、フィンテックというワードがどのような文脈で言及されているか、メディアの傾向が見えてくるはずだ。
メディア情報は定性的に引用するのがこれまでの慣例だった。定性的だけに、引用方法を間違えれば著作権の問題になる。それを定量的に活用できるとすれば、ニュースそのものが、新たなニュースソースになり得る。
現場で拾ってくるばかりがニュースではない。ニュースのビッグデータが新たなニュースになり得る。