新型POSレジ 脱・物理ボタンのローソン。ファミマは3割削減。

 

ローソンとファミリーマートがPOSレジを刷新する。ファミマは17年7月末から着手しており、ローソンは11月から切り替えが始まる。

どちらもハード的に物理ボタンを削減する。ファミリーマートは、性別・年齢層ボタンを廃止した。ローソンは、物理ボタンを全廃、オールタッチパネルを採用している。

コンビニのレジは長らく、レジ係が顧客を見た目で判断して性別・年齢層のボタンを押さないと会計が終わらないシステムになっていた。そのボタンを押すと、レシートが出たりキャッシュドロアが開いてお釣りを出せるようになる。ボタンは男女別に、未成年から50代以上まで5段階に分かれるが、店員による見た目の判断では精度がもちろん低い。各社にポイントカードが普及した現在、目視による年齢推定をやる意義はほとんどなくなっていた。

ファミリーマートは年齢確認ボタンをなくすことで、レジのボタン数が41個から28個に減るという。

ローソンは、物理ボタンそのものを廃止した。見た瞬間、スタッフは戸惑うかもしれないが、実際に困ることは何もないと想像できる。むしろこれからの人類は、物理ボタンが多すぎることに戸惑うだろう。この感覚は、何も若い人でなくてもスマホを使っていれば理解できるはず。スマホを使った直後にテレビのリモコンを見てみるといい。テレビを操作するだけのことに、これほどのボタンが必要なのかと呆れるはずだ。しかも、半分以上はほとんど押さないか、押したこともないボタンで、そんなボタンのためにリモコンはやたらと長い。

それはさておき、コンビニの会計業務はバーコード処理が主体だ。前世紀の経理のように、高速で電卓を叩くような作業はそもそもない。レジのボタンが物理的である理由はどこにもないばかりか、貴重なカウンターのスペースを物理ボタンのために割かねばならないなんて、もはや不合理なことだった。

ローソンの新型レジは、現在のものに比べ横幅が3分の2になるという。ファミマも13%ほどコンパクトになるという。コンビニのカウンターは、おでんやら揚げ物やら中華まんやら、置きたい什器が増え続けている。レジは可能な限りコンパクト化しなければならない。

 

レジが業務の正確さ・簡素化をサポート


 

ローソンの新型POSレジは、コンビニでは初めて自動釣銭機を採用した。食品スーパーではあたりまえなのに、意外なほどコンビニでの導入は遅れた。

これでレジの違算は原則としてなくなり、スタッフは現金を数えるストレスから解放される。レジ精算のスピードそのものが上がるわけではないので顧客のメリットは少ないとしても、店舗のオペレーション負荷を軽減するという意味では地味ながら重要な見直しだ。

両社とも、オペレーションの効率化が新型レジのテーマになっている。ローソンは、POS画面に操作案内のナビゲーション機能を搭載するほか、18年6月には多言語対応を予定する。

都心のコンビニでは外国人スタッフがあたりまえになっている。そのこと自体は、人手不足と悲観することではない。外国人旅行客が増え続ける今、日本語しか話せないスタッフよりも重宝するかもしれない。外国人アルバイトが働きやすい環境を整えるために、レジ操作の多言語対応は必要だ。外国人バイトに教える店側の負担も軽減されるだろう。

ファミリーマートは、宅配物の受付処理や収納代行などに必要な工程を削減することで、レジ業務の効率化を図る。また、レシートプリンタのスピードが従来の1.1倍に早まるという。・・・これにどれだけの効果があるかは不明。

 

ローソン、新型タブレットで働き方を「見える化」


 

また、ローソンはPOSレジの刷新に先駆け、8月28日から新しいタブレット端末の導入を始める。発注業務などに使用するタブレットの新型モデルで、従来との違いは業務のナビゲーション機能が大幅に強化されることだ。

商品陳列や清掃などのあるべき状態を画像で表示したり、個店の販売実績に基づいてカウンターフーズをいつ・どれくらい作り込むか推奨するという。ローソンが以前から取り組む需要予測システムを従来よりはっきり提示することで、機会ロスの削減効果を期待する。

このタブレットはさらに、スタッフ個々の作業ごとの習熟度やスキル管理もできるという。オーナーや店長が確認するだけでなく、自己点検にも使えるとしている。

新型タブレットの機能を見る限り、管理者はスタッフ教育の負担を軽減できそうだ。個々人の習熟度を「見える化」するということは、各業務を誰がどのようにやったかも見える化されるはずで、これも管理者にとっては店舗運営の負担を軽減するものになる。

従業員の方もメリットは大きい。タブレットやPOSが業務のナビゲーションをしてくれるのは、とりわけ習熟していない段階では有用だろう。また、今回のシステムによって適切なオペレーションが水平展開されれば、チェーン全体の底上げも期待できる。

肝心なことは、ローソンもファミマも新型レジを活用した業務改革を各店に徹底することだが、これがなかなか容易ではない。どちらも1万数千店を展開しており、店に関わる人は数十万人にのぼる。これだけの人数に周知徹底するのは、いかにも大変だ。

それはさておき、POSレジのサイズはコンパクト化、業務は簡素化という方向性は明確だ。売場スペースと人材、どちらも貴重な経営資源を活用するためにレジの機能が見直されている。


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