クレジットカード、磁気からIC型に全面移行⁉︎ 経産省の2020年プランに立ちはだかる、投資コスト以外のハードル

経済産業省は、2020年までにすべてのクレジットカードを磁気式からICチップを埋め込んだものに切り替え、決済端末もIC対応に移行させる方針だ。
 
15年時点で、クレジットカードのIC化は約7割に達しているが、端末の普及率は2割以下という。IC用端末は導入コストが高いことがネックで、普及が進まない。

 
そういう現状に対応しているのか、IC型クレジットカードの多くには、以前のように磁気ストライプも付いている。だからスーパーなどでICカードを出しても、読み取りは磁気と同じリーダーに通しているのが現状だ。
 
磁気ストライプを読み取るためにカードを通すあの動作、まさに磁気テープをなぞって音や動画を再生するカセットテープやビデオデッキと同じ原理だが、もはや20代以下にそんなことを説明してもピンとこないだろう。
15年度のクレジット決済額は50兆円にのぼる反面、不正使用の被害額も120億円と上昇を続けている。経産省は民間企業のIC端末導入に補助金まで出す方針で、より安全なクレジット環境を整えようとしている。
 
しかし、端末導入のネックは投資コストだけだろうか。
 
小売が投資を渋るだけでなく、消費者も利用を渋るのではないか。少なくとも、私はIC式で積極的に決済したいとは思わない。


安全と引き換えに、時間も手間もかかる

カードの安全性が高まる。それはいい。ただ、ICカードの決済は、磁気を読み取るよりも時間も手間もかかる。ごく稀にIC対応の決済を求められると、暗証番号を打ち込めと言われる。それだけでも手間なのに、4ケタ打って待っていたら、送信ボタンも押せと催促される始末。瞬間決済の磁気ストライプとは使い勝手がだいぶ違う。
ICカードは情報のやり取りのたびに暗号化をしているとかで、情報処理そのものに時間がかかる。
 
磁気ストライプのようにむき出しの情報をやり取りするのも問題だが、セキュリティ向上のためとはいえ、日々の決済クオリティ(ここでは何よりスピード)が低下するのも耐え難い。
 
とかくレジ待ちの列が長くなりがちなスーパーでは、導入そのものに抵抗がありそうだ。店側も客側も。
だから、いま補助金まで出してアクセル踏むときかね? ICカードとIC端末の普及ギャップは、導入コストだけの問題かね? という疑問がある。ICカードの方に技術的な改善が必要だろう。2020年って、何でもオリンピックに合わせる必然性はない。

非接触型の電子マネー復権? それも課題山積

同じICカードには、ワオンやナナコやスイカといった、非接触型の電子マネーもある。接触型ICカードの決済が手間なほど、IC式電子マネーが再成長するチャンスかもしれない。
 
とはいえ、決済スピードは最高の電子マネーにも、端末導入コストの高さと、クレジットカードに比べ決済に使える範囲が制限されるという問題がある。イオンではナナコは使えないし、セブンイレブンでワオンは使えない。VISAカードならどちらでも使えるのに。使用先が制限される。それが決済手段として電子マネーが抱える深刻な弱点だ。
 
ましてICカードである事は共通でも、接触型と非接触型は、決済端末が異なる。
 
磁気用リーダーを全廃して、接触型ICと非接触型IC端末を併設する・・・? 小売としては、ほんとに意欲の進まない投資になる。消費者にとっても、それで今より便利になる!とは言い切れない。ことによっては、他のブレイクスルーにあっさり取って代わられそうな気配もある。
 
Apple Payとか、日本未上陸の支払いサービスもあるし。

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