ローソン、ファミマ コンビニ発のフィンテックはどうなる?

 

ユニー・ファミリーマートHDはフィンテック関連の新会社を設立し、ローソンは銀行業への参入を予定する。どちらも、すでに資本まで入れた事業会社がビジネスを展開している領域にあえて、である。内製化に踏み込むねらいは何だろう?

そもそもローソンの銀行も、ファミマのフィンテックも、言葉の響きこそ違えど、目指すところは店舗を起点とした金融機能の強化であり、チェーンの収益力を高めるねらいに違いはない。

チェーンの収益力こそ、首位セブンイレブンとの差であり、そこまで一足飛びには届かないにしても、確実に2番手の地位を確保したいところだ。

現状、本部の営業利益をとっても、加盟店の平均日販をとっても、ローソンが2番手であることは以前と変わらない。ただし店舗数と全店売上でローソンを凌駕したファミマは、チェーンの質でも2番手をねらうにふさわしい存在になった。

 

銀行と呼ぼうがフィンテックと呼ぼうが、目的は同じ


 

チェーンの収益力を高めるための金融事業。それを銀行と呼ぼうがフィンテックと呼ぼうが大差はない。小売が手がける金融事業の取り組みは、いずれにしたって顧客の囲い込みを目的としたものに収斂するのだから。 

小売チェーンによる金融サービスは、ペイメントとポイントプログラム、それらの運営に伴って蓄積される顧客データを一元管理することが中心になる。

ペイメント&ポイント&顧客データといえば、いかにもフィンテックの領域だ。これに預金機能、つまり顧客の資金をプールする機能が加われば、ペイメント&ポイント&顧客データのビジネス基盤はより強固になる。預金機能を備えた金融ビジネスとなれば、これまでの慣習として「銀行」と呼びたくなる。

ローソンもファミマも、新会社による金融サービスを何ひとつ明らかにしていない現状ではあるものの、言葉の響きだけであえて違いをつけるとしたら、顧客の資金のプール機能を考えているかどうか、それだけではないか。

それさえも、大した意味はないかもしれない。ファミマも資金のプール機能を考えているかもしれない。2年前ならそれを銀行と呼んだ。今はフィンテックと呼ぶ。その違いだけかもしれない。なにせ銀行を含め、既存の金融業が変わろうとしている現在だ。

 

小売の金融事業は、消費の喚起につながる


 

いずれにせよ、両社ともペイメント&ポイント&顧客データの一元管理を強化し、顧客の囲い込みを進めていくと思われる。先を行くイオンもセブン&アイも、金融事業はそっちの方向へ進んでいる。

イオンの総合金融事業は、銀行業と決済・ポイント、クレジットを密接に連動させる方向感にあることは明白だ。資金をプールする仕組みと、自社グループ内での消費を促すエコシステムを充実させてきた。セブン&アイの金融関連事業はATMビジネスだけが突出しているように見えるが、電子マネー「nanaco」によって、ペイメント&ポイント&顧客データ管理の流れができている。

小売チェーンが手がける以上、自社グループ内での消費活性化につながる金融でなければ意味がない。その目的がまずあって、あとはどこで収益化するかはグループ戦略で変わってくる。

 

いまさらATMでもないでしょ


 

コンビニの手がける金融事業だからといって、もはやセブンイレブンのようなATMモデルである必然性はない。

ローソンが銀行参入を表明したとき、セブン銀行を引き合いに周回遅れとも批判されたが、1万数千店のインフラを活用したサービスが重要なのであって、何もATMを中心に考える必要はない。これからの金融サービスで、いずれ淘汰されるものとしてATMが挙げられる昨今だ。

モバイル端末があれば、振込みをはじめATMでやれる機能の大半はまかなえる。キャッシュレス化が進んで、現金を必要とする場面そのものが減っていくはずだが、それでも現金が必要な場面があるとしたら、たとえATMがなくてもレジで現金を引き出す方法もある。これを「キャッシュアウト」と言い、そのサービスが18年の4月以降に具体化していくとされている。問題は山積だが。「店頭レジで現金引出し? その機能いるんですか、デビットカード」 参照。

ATMを必要としない金融インフラは、中国でもケニアでも実現していることだ。ローソンやファミマがセブンを追いかけて、ATMを頑張る理由は微塵もない。それよりも、店舗ネットワークと、おそらくモバイル端末を組み合わせてどのような金融サービスを打ち出してくるか、楽しみだ。


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