カセットコンロ。食卓を人にとって自由にするために

新居(の中古住宅)はオール電化で、ガス火が使えなくなった。そうなると、鍋釜のIH対応はさておき、それまで米を土釜で炊いていたことが問題になった。

土釜で炊いたからといって、とりたてて美味しくなるとも思えないが、妻は土釜で炊くのを気に入って、電子釜はすっかり使わなくなっていた。土釜の方が早く炊き上がるからだ。

強火を15分もかければよく、あとは蒸らすだけ。電気釜だと炊き上がるまでに30〜40分はかかっていた。調理時間の短縮。働く女性にとって、時短の優先順位は高い。

保温ができない土釜の飯は、時間が経てば冷える。しかし食べる直前に炊くのだからさして問題ない。なんといっても、土釜で炊くという言葉の響きや絵面には、情緒をくすぐるものがある。ただ繰り返しになるが、飯の出来が電気釜よりよくなる感じはない。

とにかく土釜が使えなくなるのは惜しいので、久しぶりにカセットコンロを購入した。

この10年はホットプレートを重宝してきたが、炊飯以外にも改めてカセットコンロを使ってみると、わりと使い勝手がいい。

ホットプレートは、ガス缶を交換する手間がないのは便利だが、熱源が熱しにくく冷めにくいので、鍋にも焼肉にも不便なところがあった。安全機能が働いて、意図しないときに加熱をやめてしまうのも困りものだった。

なにより煩わしいのが、コードでコンセントと結ばなければならないことだ。

壁のコンセントと食卓のホットプレートをつなぐのに、製品に付属のコードではまず届かない。延長コードまで用意して、壁から食卓までコードを這わせることになる。するとプレートを置く位置や向きは、壁のコンセントの位置関係に左右されてしまう。また、うちだけのことかもしれないが、子供は食前・食後にテーブルの周りを駆けたがるものなので、コードが這っていると都度、注意を促す必要もあった。

カセットコンロを使ってみると、ホットプレートを使用していたときの制約から解放される。家族が使いやすいところに置けるのがいい。人間を中心に食卓の配置を決められる。これまでは、壁のコンセント起点で食卓の位置関係を考えなければいけなかった。

カセットコンロもホットプレートも、何十年も前から広く使われているものだ。どちらを選ぶかは、私がそうであるように、どんな価値に重きを置くかで決まるだろう。

長らくホットプレートに依存してきたので鍋が足りず、今もホットプレートは現役だ。しかしコンロで使える鍋を増やそうと思っている。すき焼き鍋とか土鍋とか。食卓にコードの制約を持ち込むべきではない。食卓は囲む人のために自由であるべきだ。

I believe in a wireless future.


Pocket
LINEで送る