リアル店とネットの相違。品揃えを絞り込むのは誰か

店の品揃えについて、リアル店舗の人は結局のところ、商品をどう絞り込むかを考えている。

最近はスーパーでも「選ぶ楽しさ」を提供することが時流になっていて、取り扱う商品数は増える傾向にある。ただ、増え続ければ運営上の効率が悪くなるから、やがて見直すタイミングが来るだろう。

景気との兼ね合いもある。不景気になると、選ぶ楽しさより安いことが重視される。安い商品は数を売らないと利益が出ないので、そういった商品が大量に並べば、押されてはじき出される商品が増える。

店の棚にはスペースの限界があるし、在庫を置ける場所も限られている。つまり売れ筋は多く揃え、死に筋はカットしなければ店の効率が落ちる。だから売場の編集というと、品揃えを制限内に絞り込むことだと心得ている。




顧客にとっても絞り込みは必要
店舗の買物は疲れるし、時間もないから

もっとも、リアル店舗であまりにも品数が多いと、顧客のためにもならない。売場を歩き回るのは疲れるし、棚に並ぶ商品を立ちっぱなしで吟味するのも疲れる。

食品など毎日のように買物するものは、それほど時間をかけられない事情もある。絞り込まれていた方がいいと考えるのは、買う側の体力と時間の制約にも理由がある。

しかし、ネットで購入する商品に関しては、体力と時間の制約はリアル店舗ほど問題にならない。店まで出かける手間はないし、ここで決めなきゃと入れ込む必要もない。

いつでも購入できるということは、いつまででも悩めるということだし、いつでも買物を中断できるということでもある。

商品そのものの情報や価格の比較など、ネットで見ている方が売場で見るよりも多様な情報を得られるから、気に入った商品が見つかるまで、納得のいくまで商品を探し続けられる。

 

ネットでは、商品の絞り込みは顧客の仕事
売手の誠意は、最大限に品揃えすること

Amazonや楽天のようなネット専業のサイトは、可能な限り多くの商品を集めようとする。絞り込みは検索ワードによって、顧客がやることと心得ている。

リアル店舗の企業が運営するネットサイトは、運営サイドが商品を絞り込みがちだ。検索結果が出て、これしかないの? と驚くことがわりとある。

リアル店舗なら、「売手の目利きで商品を選りすぐる」ことがサービスの一部になるとしても、ネットでは怠慢な業務となり、顧客に対する不遜な態度にさえなりかねない。

消費者は十分に商品を調べ、自分の価値観に合わせて必要なものを理解していることが多い。売る側があえて選りすぐる必要はない。

ネットで求められるショートタイムショッピングとは、商品数を制限して選びやすくすることではない。画面の見やすさとか、不安なく誤解なく、よどみのない決済までの流れとか、そういったことで買物時間を短縮することだ。ネットで閲覧して商品を探すうえで、品揃えが制限されることのメリットは買う方にはない。

リアル店舗とネットでは、品揃え計画(マーチャンダイジング)の原理が根本的に違う。ネットでは品揃えの絞り込みは顧客がすることだ。売手は可能な限りの商品をひたすら揃えることが、より誠実な姿勢になる。

なぜなら、商品を検索で探せるネットの場合、顧客は何を買うかの選択権だけでなく、商品をどのように絞り込むかの選択権も握っている。売手側は、品数が多すぎると顧客は選びづらいだろうなどと考える必要は、ほとんどない。


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