再配達を削減する決め手。宅配ボックス普及の課題は?

配送業者にとって宅配の負担は重い。しかしネット通販の荷物は増え続ける。荷物の総量に対応する方法として、新規参入者には宅配そのものを諦めるトレードオフもありでは、と書いた。「ヤマトとアマゾンの交渉、ECのサービスレベルは後退するだろうか」 

とはいうものの、個人的には家まで届けてもらいたい。車に乗らないので、ちょっとした荷物でも届けてもらわないと困る。コンビニで受け取って持ち帰れるようなものなら、実際にはどこからだって持ち帰れるが、そうでないものも多い。うちの場合、自宅から500m内にコンビニがないという事情もある。

私が車を運転せずに生活できるのは、ヤマト運輸をはじめとする宅配事業者のおかげだ。マイカー代わり。まさしくそうだ。その役はタクシーではない。運賃の高いタクシーをあえて使わなくても、電車もバスもある。2kmくらいなら是非とも歩く。しかし、荷物を抱えて歩くのは辛い。無理がある。この世に宅配業者がなければ、しぶしぶ運転するしかない。運転をしたことはないが、免許は持っている。ただ、私の運転は、世間のためにならないと思う。宅配業者のおかげで、運転をしないで済む。ありがたいことだ。

そんなわけで、荷物はやはり自宅まで届けていただきたい。しかし不在ということもある。また、荷物を受け取るために玄関に出向くのも実は面倒でもある。

理想をいえば、荷物は自宅の指定の場所に届けてもらい、配達の確認はスマホなどのITで済ませたい。ドライバーには本当に感謝しているが、だからといってドライバーと顔を合わせたいわけではない。ドライバーだって、いちいち届け先と顔を合わせることなく荷物を届けられた方が効率的なはずだ。

つまり、宅配ボックスが必要になる。マンションでは以前から実用レベルになっていて、わりと普及している。しかし戸建用は少ない。

 

ハンコ捺印の建前だけをつくろう宅配ボックスの現状

 

戸建用の宅配ボックスがないわけではない。パナソニックやYKK AP、ナスタなど、郵便ポストやインターホンとの一体型で、見た目もクールなものが出ている。ただし価格は高い。10〜30万円、設置工事費がさらに必要だったりする。

荷物の受け取り方に問題もある。ボックス内に印鑑をセットし、宅配業者に捺印してもらうというやり方は、ただの方便でしかない。だったら捺印そのものを省略してしまえばいいくらいの話だ。そういえば集合住宅の宅配ボックスを利用していた時分には、捺印もしていなかったはずだが・・・。

既存の宅配ボックスは高価でスタイリッシュな外見のわりに、受け取りのシステムが雑な感じがするので、まだ購入の時期ではないと思っている。

サンワサプライからは、本体価格17,407円という衝撃価格の宅配ロッカーも出ている。亜鉛メッキ鋼板を使った、外観は箱そのものだ・・・。玄関に置かれた姿は、クールではないかもしれない。置き方の工夫次第か?

ただしこの商品、機能は十分に思える。庫内はペットボトル9本入ケースも収納できるという大容量で、ネコポスのような小型の宅配物を入れる口蓋も付いている。ロック関連のセキュリティもちゃんとしているようだが、やっぱりハンコ備え付けの捺印スタイル・・・。

サンワサプライの宅配ボックス

 

PUDO 5000ヶ所になってもコンビニの10分の1以下
宅配インフラ再構築に家庭の宅配ボックスは不可欠

 

現状の宅配ボックスにどうしても無理があるのは、製品の開発に宅配業者が絡んでいないせいではないか。宅配ボックスの普及は、おそらく再配達を削減する最も有効なアプローチだ。自宅の近くにどれだけ宅配スポットが増えても、自宅に届けてもらうこと以上に便利なことはない。

再配達は社会問題として取り上げられているが、宅配ボックスの普及に関していえば宅配業者の取り組みは消極的すぎて、むしろ責められるべきではないかと思う。荷物の総量コントロールが必要なほど状況は逼迫していると言うなら、宅配ボックスの普及にもっと真剣に関わって欲しい。

ヤマトも合弁会社を立ち上げて宅配スポットを増やしてはいるが、問題をドラスティックに解決するアプローチではない。この宅配スポット「PUDOステーション」は、17年7月には設置台数が500台を突破したとリリースされた。さらに首都圏・近畿圏で264店(17年2月時点)を展開するライフコーポレーションも全店導入を表明した。これだけで現状から1.5倍になる目処は立っている。そして2022年までに5000ヶ所以上という目標を掲げている。

宅配スポットを5000ヶ所も作るのは大変なことだが、それでも現在のコンビニ店舗数の10分の1以下でしかない。むしろ戸建・マンションの宅配ボックス環境を整えることに注力していただきたいと、ずっと思っている。

宅配ボックスそのものをIoT化するのが真っ当な方法だが、電源が必要になったり、WiFi環境を整える必要があったり、普及を妨げるハードルになりそうな要素が出てくる。簡便な方法としては、ヤマトがクロネコメンバーズとの連絡ですでにやっているような、LINEを介した通知だろうか。宅配の通知が届き、荷物を確認できたら認証を返す。そんな機能によってスマホで荷物の確認が取れるようになれば、捺印の代わりになりそうに思うが・・・。少なくとも、備え付けのハンコを配達員に押してもらう方便よりもはるかにマシになる。


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