店頭レジで現金引出し? その機能いるんですか、デビットカード

デビットカードの新サービスとして、スーパーやコンビニのレジで銀行口座から現金を引き出せるようになる。らしい。

つまり、銀行に行かなくてもATMが見つからなくても、スーパーのレジで口座から現金を下ろせるということ。買物ついでに現金も調達できて便利ですよと。

 

デビットカードってなに? という人も心配ない。手持ちの銀行キャッシュカードにはデビット機能が標準で搭載されている。

キャッシュカードをレジに持って行って、支払いのときに下ろしたい金額を伝えれば、お会計の後に現金が手渡される。お釣りをもらう感覚に近いだろう。

 

なんでキャッシュカードで買物できるの?

スーパーのレジ係が口座のお金を動かせるの?

と食い下がって不思議がる人もいそうだ。それがデビットカードですよと説明しても、伝わるとは限らない。

 

デビットカード自体が、あまりにも知られていない。

 

日銀が17年5月に発表した調査「最近のデビットカードの動向について」によると、クレジットカードは約7割の人が利用しているのに対し、デビットカードは4%くらいだ。金額ベースではクレジットが9割デビットは2%のマイノリティ。

 

このデビットカードは2種類に分かれる。

 

その1つ、銀行が提供する「J-Debit」は、スーパーにはほとんど浸透していない。

 

もう1つ。クレジット会社と銀行が組んだ「ブランドデビット」は、ここ数年で広がってきた。なにしろVISAやJCBのクレジットカード加盟店でも使えるし、ネット決済もできる。使い勝手はクレジットカードと変わらない。

J-Debitとブランドデビットの違いについては「visaデビットの攻勢。コンビニで利用促進」。 

 

スーパーやコンビニが対応する理由がない


 

デビットカードによる店頭レジでの現金引き出しを「キャッシュアウトサービス」と呼ぶ。

17年4月に改定された銀行法施行規則の緩和によって可能になるもので、銀行などで構成する業界団体は、18年4月からのサービス開始を目指すとしている。

ただ、デビットカードの利用を促進したい日本電子決済推進機構や日本デビットカード推進協議会がどれだけノリ気でも、スーパーやコンビニなどの店舗が動いてくれるとは限らない。

 

そもそも、ほとんどのスーパーがJ-Debitに対応していない。先ほどキャッシュカードには標準搭載されていると書いたが、店舗がJ-Debitを導入していなければ使えない。

キャッシュアウトを求める場合、差し出されたキーパッドに4ケタの暗証番号を入力するそうだが、そのキーパッドがスーパーには置かれていない。

 

いろいろなペイメントサービスが次から次へと登場してくる昨今、現金を引き出すためにわざわざ新しい端末を導入するかな・・・?

 

スーパーで現金を下ろせなければ不便だ!どうしてもスーパーで下ろしたい!という人は、

スーパーに置いてあるATMを使えばいいのでは?

 

すでにATMを設置している店舗は多い。コンビニなら100%近く、スーパーでもかなりの割合で設置されている。

現金の引き出しのために、あえてレジ業務を増やし、端末の導入やレジシステムの改修までするモチベーションはスーパー、コンビニにはないだろう。

 

ATMは置くだけで店の副収入になる


 

店のレジで預金を引き出せるキャッシュアウトは、1980年代の英国・テスコから始まったものらしい。欧米ではそこそこ普及しているようだが、日本とは前提が違う。デビットカードの利用率がクレジットカードと拮抗、ないし上回るような国での話だ。

 

米国では、店舗に対して銀行側が手数料を支払うという。

店舗に副収入が落ちる。そういう構造だったら、日本でもキャッシュアウトが広がる・・・、ことにはならないと思う。やっぱり。

 

なにせATMもテナント扱いで、ただ置いておくだけで月々の収入になるから。

 

スーパーやコンビニのATMが長蛇の列で使いものにならないならともかく、キャッシュアウトのポイントとして重視されている地方や郊外の店で、ATMを使っている人はさほど多くない。

地方にキャッシュアウトの需要が本当にあるとしても、レジで対応する前にATMの利用を促した方がよさそうだ。

 

だいたい、キャッシュレス化が進む今の英国その他の国で、キャッシュを引き出す需要は現在どうなっているのだろう。いまさら日本で30年前のサービスにならう意味ってあるだろうか?

 

お年寄りにも外国人にも、「どうぞATMへ」と誘導しよう


 

日本人はキャッシュを好むから必要か?

 

しかし、その状況を変えるために、政府は2020年に向けてキャッシュレス化を進めているはずでは? 

キャッシュアウトとキャッシュレス化は、取り組みとしてどのように整合するのだろうか。

むしろキャッシュアウトしなくてもいい環境を整えることに集中すべきで、いまさらキャッシュアウトの利便性を追求する必要はない。

 

こんな反論もあるだろう。

 

そうはいっても100%のキャッシュレス化が早急に実現できるわけではない。お年寄など、わざわざ銀行まで行かなくても現金を引き出せる環境を整える必要がある。

 

こう答えるしかない。スーパーに設置してあるATMをご利用いただこう。

 

また、こんな理由も挙げられるようだ。

外国人の訪日旅行客が、手持ちのカードで手軽に日本円を取得できる環境を整える必要がある。

 

こう答えよう。店に設置されたATMをご利用いただこう。

 

スーパーもコンビニも、レジの業務改革は1秒でも早く決済を終わらせることに特化すべきでしょう。それにはレジ業務を簡素化し、現金の取り扱いは減るに越したことはない。なのに新しく現金を取り扱うサービスを付加するなんて。

 

キャッシュのご用は、何とぞ店内備え付けのATMで。と言えばいい。


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