ジェニック(+genic) SNSでショッピング。ECの買物体験が変わる?

 

eコマースは、カタログ通販のペーパーレス化

 

考えてみるとネットショッピングという販売チャネルは、紙媒体のカタログ通販を便利にする方向で進化してきた。ネットなら、紙に印刷するよりも低コストかつ膨大な商品を紹介できる。購入者はオーダーも決済も端末上で完結し、あとは配送を待つだけ。

かつて紙のカタログ商品を購入するには、どうしていたっけ? オーダーはハガキで郵送? FAXで送信? また、決済はどのように? 銀行に入金? 代引き? コンビニで支払う? ちょっと思い出せない。今となっては信じられないような手間で、そんなこと本当にしていたのだろうかと思う。

紙媒体の通販からネット通販に移行したせいか、通販サイトの商品の見せ方は一般的にカタログ風だ。カタログ風に編集するのが効率的だからこそスタンダードになったわけだが、こうして通販サイトがあたりまえになると、見せ方を変えようという工夫も出てくる。

17年7月にリリースされた通販連動型SNSの「+genic(ジェニック)」は、ビジュアルを活用することで、ネット上での商品の見せ方と、購入までの流れを変えようと試みる。

 

+genic SNSから直ショッピング

SNSとショッピングのスムーズな連携を図るジェニック

 

サムライソードが運営するジェニックは、SNSの投稿画像からダイレクトに販売、もしくはAmazonや楽天などの通販サイトに遷移する。情報と販売の垣根を下げるための工夫だ。

SNSに投稿された画像をタップすると、画像中でリンクの貼られた商品がマークアップされる。それをタップすると商品名と価格がポップアップし、さらに詳細を確認したければ通販サイトに遷移していく。

ジェニックの閲覧者は、写真をみて気になったグッズについて、名前が分からなくても簡単に販売サイトへたどり着ける。

ジェニックへの投稿者にとっては、情報発信(プロモーション)と販売の新しい導線になる。これはアフィリエイトに限ったことではなく、ジェニック内に開設する「マイショップ」で商品の販売もできる。

画像投稿やコメントなどは、SNSの交流機能そのものだ。これに商品の紹介や販売機能のシステムを提供することで、SNSとショッピングのスムーズな連動を図る。

カタログベースの従来型ネットショッピングは、商品名を知らないと調べられなかった。画像へのタップだけで販売サイトまで進めてしまうところがジェニック流のアプローチだ。

スタート2日目のジェニックを見ると、販売サイトへのリンクを貼っていない投稿もたくさん見受けられ、物を起点としたSNSの色合いが濃いと感じた。今後どうなるかは分からない。フォトとテキストによる情報を販売にどう結びつけるか、ジェニックならではのノウハウが洗練されて多くの投稿者に広まっていくほどに、ジェニックそのものも発展していくだろう。

 

LINEショッピング 巨大な構成でスタート

 

巨大ポータル機能を構築したLINEショッピング

 

SNSのショッピングといえば、LINEも17年6月にLINEショッピングを立ち上げたばかりだ。こちらは100以上(と6月のリリースには書かれているが、はるかに多いようだ)のオンラインショップを束ね、6800万人のユーザー基盤を活かした巨大ECポータルサイトになっている。

なにしろヤフーショッピングや楽天市場まで名を連ねている。さすがスーパーメジャーのSNS。ユニクロも参加、オムニ7に遷移するそごう・西武やロフト、またはイオンの通販サイトもLINEショッピングにリンクしている。ロハコも参加。メーカー直販サイトもいろいろある。なんでも参加しそうな勢いがある。

LINEショッピング経由で買物をすると、たとえばヤフーショッピングで購入してもLINEポイントが貯まり、ヤフーが振り出すTポイントも貯まる。すべてのサイトを確認したわけではないが、各サイトのポイントとは別に、LINEポイントも付与するようだ。

このLINEポイントは、SNSのスタンプなどの購入に使えるだけでなく、LINEの電子マネー「LINE Pay」にも交換できる。

 

さらに外食もカバー、LINEデリマ

 

7月26日には外食14,000店を束ねたデリバリーサービス「LINEデリマ」もスタートした。こちらはリンク先を集めるだけのポータル機能ではなく、LINE上から簡単に注文できるシステムを提供している。もちろんLINEポイントが貯まる・使える。

モバイル端末をベースに、人に関わるすべての領域をカバーするプラットフォームを構築しようとしているLINE。コミュニケーション、コンテンツ、決済、ビジネス、ショッピングなど、あと何があるのか分からないくらい、モバイル起点で生活をカバーしようとしている。人工知能スピーカーも発売予定だから、じきにモバイル起点でさえなくなるのだろう。プラットフォームとしての機能の充実ぶりは、すでにヤフーすら凌駕しているかもしれない。

 

SNSショッピングの主流はLINE
ジェニックは支流でも異なる楽しさ?

 

LINEのプラットフォーム機能の壮大さに目が眩んでしまったが、LINEショッピングの発想そのものは巨大ECモールであり、これまでのカタログ型サイトと変わらない。ポイントプログラムの生態系を充実させようとするしたたかな面もあるとはいえ、ユーザー基盤を活かした巨大なポータル機能は、ヤフーや楽天市場のモデルと本質的な違いはない。各サイトにリンクしているだけで買物体験に一貫したものはなく、洗練さにおいてはAmazonよりも見劣りする。言ってみればショッピングサイトのキュレーションメディアといった感じだ。

しかしLINEユーザーの規模を考えれば、これがSNSショッピングの主流になるのだろう。トラフィックは売上を作る。

LINEショッピングがSNSショッピングの主流、整備の行き届いた大河であるとしたら、ジェニックが提供するSNS型ショッピングは支流ではあるものの、面白い風景に出会える川沿いかもしれない。生活に必要なすべての商品を買い求めるのは難しいとしても、新しい発見を期待できる場所として、訪れる価値を作り出せるか。


Pocket
LINEで送る